ウサ蚕ができるまで ~後編~
ウサ蚕ができるまで ~後編~
こんにちは。
引き続きウサ蚕さん制作秘話です
前編はこちら→ 「ウサ蚕が出来るまで ~前編~」
前回は触角が出来たところまででした。
④ひっくり返し、綿を詰める
パーツを縫い終えたら、鉗子(なんか挟むやつです)でひっくり返します。
その後、綿を専用のスティックで詰めていきます。
特に頭の綿はギッシリ詰めるので、かなりの力が必要です。
えっ!?こんなに入るの!?ってくらい、大量の綿が入ります…。
左:パーツをひっくり返し終えたところ 右:頭の綿詰め。ぐいぐい…
⑤顔作り
表情を決める、もっとも繊細で一番時間を使う工程です。
目・鼻・口・耳などを付けていきます。
…が、ウサ蚕さんは鼻と口がありません。
最初はウサギの鼻と口を付ける予定でしたが、丸いフォルムが気に入ったので無しに。
カットやトリミングもしていません。
代わりに眼力のある瞳を…。
ラトビアのシンゴヴスカヤさん作のお手製グラスアイです。
ちょっぴり怖い雰囲気になりつつ、とっても個性的になります。
瞼をつけ、更に着色してリアルにしつつ…
お顔ができると命が吹き込まれたように、みんな個性を持って生まれるんですよ。
左:グラスアイを付けたところ 右:瞼をつけた完成後のお顔
……羽、どうしよう!!!!
前回の触角に引き続き、また手が止まりました。
リアルではここでかなり日数が空きました。
丁度良い生地がなかったのです。
一応、シルクに着色という形で試作してみたのですが、雰囲気が合わないのでボツになりました。
(画像がなくてごめんなさい…)
後日、生地を買って制作に戻りました。
最初と同様に、型を写してカットしていきます。
蚕自体が白いので、羽も白だよな~と考えていたのですが、
ここでウズウズ。何かが足りない病が発症。
結果…塗る!!
こんな感じ。
薬味皿じゃん!!!!!って思いますよね。薬味皿です。
作家はみんな薬味皿をパレットにします。
ウソです。兄から貰いました。
もちろん新品ですのでご安心ください。でもちょうどいいんだなこれが…。
塗り終わり。
青と水色の羽。
細筆で塗ったら結構綺麗にできました。
これだけだと寂しいので、もう一息。
こんどはピンク!
…さらに、黄色&黄緑!!
可愛く優しい雰囲気に。
羽が出来たところで、全てのパーツが揃いました。
次へ!
⑥ジョイント
すべてのパーツにジョイントをセットし、胴体と接続します。
ジョイントとは、木材でできたハードボートと、
金属ワッシャーと金属ピンを組み合わせてできています。
これを首・両手・両足に仕込むと、
いわゆる「テディベアの動き」になるんですね。
ウサ蚕さんは手が4本と羽にもジョイントを施したので、
合計10ジョイントになりました。
一般的なクマが5ジョイントなので、ちょうど倍ですね。
このように専用の道具でピンを巻いていきます。
これが大きな作品になるとジョイントも大きくなるので、巻くのには力が必要。
いつも手がマメだらけに…
⑦仕上げ
最後に胴体にビーズや綿を入れ、背中を閉じ、毛を整えたら完成!
ウサ蚕さんの誕生です!
生まれたよ~!!!
ちなみに胴体には綿以外にも、こんなものが詰まっています。↓
ずっしりくたくたな抱き心地に。
左:グラスビーズ 右:ステンレスボール
ウサ蚕さん誕生秘話、どうでしたか?
ウサ蚕さんは羽や触角が特殊でしたが、
基本的にはどの作品も、大きくても小さくてもこのような手順を経て生まれています。
飛ばせる工程は1つとしてありません。
作品作りは楽しいけど、苦悩の連続です。
でも、「あ、これがいいな」とか、「こうしたら面白い」
って自分に対して素直な感性で素材を選んだり、表現したりすると、
なんだか上手くいくような感じがします。きっとそれが自然だからだと思います。
いい感じに纏めたと思うので、最後にお礼とオーダーについてです。
おかげさまで今回のウサ蚕さんはお家が決まりました。
ありがとうございました!!
お顔作りの時にも述べましたが、瞳がシンゴヴスカヤさんお手製のものです。
なのでオーダーの際はまた違った瞳になりますが、一応いくつか候補があるので、
気になる方はお早めにコンタクトからお問合せ下さいね。
完成写真をもっと見たい方は以前のブログをご覧ください↓
それでは、読んでいただきありがとうございました!!
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